本年度は、通常の培養法では検出できない生理状態にある斑点病原因菌Flexibacter sp.を検出するための手段として、同菌の16S rRNAの塩基配列からの特異プローブの作成を試みた。 1.原因菌Flexibacter sp. 12-N株を含む原因菌6株の16S rRNAの塩基配列を決定した。 2.データベースに登録されているFlexibacter属、Cytophaga属、Flabvobacterium属細菌の16S rRNAの塩基配列との比較から、原因菌に特異的な塩基配列部分、大腸菌のnumbering 454番目から478番目に相当する20塩基を見出した。 3.この20塩基をforward primerとし、riverse primerとしてユニバーサルプライマーである1540Rプライマーを用いたプライマーセットを作製した。 4.F-2株を含む斑点病原因菌6株、F-2株のVBNC細胞、Flexibacter属菌4株、Cytophaga属菌9株、Flabvobacterium属菌8株、Vibrio属菌8株およびウニ個体・ウニ飼育施設から分離した原因菌類似菌30株を供試してPCRを行ない、前記プライマーセットの特異性を検討した。 5.その結果、原因菌およびF-2株のVBNC細胞以外には増幅産物はみられなかったことから、前記プライマーセットを用いたPCRにより、斑点病原因菌Flexibacter sp.の特異検出の可能性を示唆した。
|