研究概要 |
本研究は、亜寒帯太平洋の動物プランクトン群集の特徴を東西海域で比較すべく基礎的知見を得るために、1980年代初頭から2000年代初頭にわたっておもに夏季に採集したN0RPACネット(口径45cm,目印3.3mm;0〜150m鉛直曳)標本を用いて、西部域の動物プランクトンのバイオマス、種・群組成、個体数等を調べた。その結果、以下の知見を得た。 (1)当海域の動物プランクトン群集は周年を通してカイアシ類が優占し、バイオマス(湿重量)のピークは初夏にあった。このピークは、大型カイアシ類Neo-calanus属、Eucalauns属が早春に表層へ浮上し、活発に摂餌・成長したことによるものと解釈された。 (2)カイアシ類に次いで、毛顎類、オキアミ類(おもに幼生)のバイオマスが高く、サルパ類、ウミタル類も季節的・局所的に豊富になることがあった。 (3)夏季のカイアシ類バイオマスは約1桁の年変動が見られたが、水理環境、とくに表層水温の年変動と密接な関係は見いだせなかった。 (4)黒潮続流の影響を受けやすい西部域は東部域に比べて動物プランクトン群集の種多様性は高いことが示唆された。
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