研究概要 |
漁業に依存しない浮魚類,中深層性魚類の資源量の推定は我が国における持続的な漁業生産維持のために,また,資源量のモニタリングの上で重要である.研究対象である海洋生物のうち中深層性の魚については,海山の周辺に分布するキンメダイを対象として,それらの分布量を計測するために神奈川県水産総合研究所の調査船江ノ島丸を傭船し,三宅島西方にある"ホンバ"海山で現場調査を2回行った.調査には海洋研究所行動生態計測分野にある可搬型スプリットビーム計量魚群探知機を曳航し走査するとともに,船の位置を高精度で確認できるディファレンシャルGPSを用いて位置情報を取得した.魚群反応のあった場所では釣りによる魚種の確認のための釣獲試験を行い,そのほとんどがキンメダイであることが明らかとなった.ホンバ海山は三宅島の西側にあり,三宅島の火山活動による降灰などの影響があったが,1Km^2当りキンメダイ分布量は約14万尾生息すると推定され,2回の調査とも大きな変化はなかった. 研究対象である海洋生物資源のうち,藻場については岩礁域に分布するカジメ藻場を対象として研究を行った.スプリットビーム計量魚群探知機および高精度で確認できるディファレンシャルGPSを用いて,宮城県女川近くの泊村地先のボーダ浜で調査を行った.音響によるグリッド調査と調査定線上を潜水による現存量の確認を行った.また,今年度は取得したデータを用いて直ちに船上で迅速処理できるように本研究費で高性能ノートパソコン(DELL社製,INSPRON8000)を購入した.
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