本研究の目的は、ディジタルデータ通信専用の低軌道通信衛星(Low-Earth-Orbit:LEO)の利用を前提とした、陸上モニター局と漁船あるいは漁具間の相互通信、およびモニターシステムを研究開発することである。 3年計画の初年度に当たる12年度は、衛星通信モニターシステムの基本設計と構築を実施した。海上で浮遊させながらデータ通信を行うことを考慮して、LEOを利用するオーブコムシステムの通信端末と、精密位置測定のためのGPS(Global Positioning System)受信機を内蔵するブイを製作した。ブイ内には、オーブコム通信端末、GPS受信機、データ通信用アンテナ、GPS受信アンテナ、およびこれらを駆動する電源等がコンパクトに納めてある。ブイ(強化プラスティック製水密構造)の外径は30cm、空中総重量は5kgである。通信データは、通信日時、及びブイの緯度、経度、電源電圧等で、通信間隔は、必要に応じて変更可能な仕様となっている。一方、ブイ位置を監視する陸上側PCには、LEO衛星を介して筑波にあるシステムコントロールセンターからe-mailで配信されるブイ位置等を地図上に表示し、記録、編集するためのアブリケーションが搭載してある。 現在、通信および測位について予備的な基本性能試験を既に開始している。次年度は、性能試験の結果を踏まえて、一部仕様の改善も含めて研究を進めていく予定である。
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