研究課題/領域番号 |
12660174
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小田 達也 長崎大学, 水産学部, 教授 (60145307)
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研究分担者 |
畠山 智充 長崎大学, 工学部, 助教授 (50228467)
石松 惇 長崎大学, 水産学部, 教授 (00184565)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 赤潮 / プランクトン / 活性酸素 / 毒性 / シャットネラ / ラフィド藻 / レクチン |
研究概要 |
赤潮原因植物プランクトンであるChttonellaは通常の培養条件下で常にスーパーオキサイドを産生している一方で、レクチンの一種であるコンカナバリンA(Con A)、あるいは糖特異性が異なる他のレクチン(リシン、CBH、WGA等)添加によって、著しく上昇すること、さらに興味あることに、魚鰓粘液由来高分子物質にも同様な刺激作用があることを見出している。これらの結果からChttonellaにも、哺乳類白血球同様、細胞外からの刺激に応答してスーパーオキサイド産生量を増加させる刺激応答機構あるいは酵素系(NADPH oxidase)が存在すると推定される。さらに、Chttonella細胞表層に存在する糖皮膜構造体glycocalyxを含む無細胞粗抽出液中にNADPHを添加すると、スーパーオキサイドが酵素的に産生されることを見出した。そこで、本無細胞抽出液中に存在するHADPHに応答する酵素系について、特に白血球のNADPH oxidaseとの類似性について検討した。これまでの予備実験により、レクチン添加などの化学的刺激の他、穏和な条件下での撹拌や超音波処理などの物理的刺激によってもこのglycocalyxはChttonella細胞表層から脱落することをを見出している。そこで、Chttonella細胞を超音波処理あるいは単に軽度の撹拌処理した後、細胞本体を遠心分離により除去し、上清を得た。この上清にNADPHを添加するとスーパーオキサイドが酵素的に産生されることが確認されたので、これを粗酵素としてSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によりその構成成分をさらに細かく分離後、常法に従い免疫抗体法によりウエスタンブロットによる解析を行った。すなわち、ヒト白血球由来NADPH oxidaseと免疫学的に類似した成分が存在するか調べた結果、ヒト好中球のNADPH oxidaseの主要成分蛋白質であるチトクロームb大サブユニット(gp91 phox)に対する抗体と反応する主要バンド(110kD)が検出された。また、本蛋白質をコードするDNA断片もChttonellaのゲノムDNAから検出された。以上の実験結果により、Chttonellaは哺乳類白血球細胞膜酵素であるNADPH oxidaseに類似したスーパーオキサイド産生を司る酵素系を有していることが強く示唆された。
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