研究概要 |
本研究の目的は、フローサイトメータや蛍光分光光度計などの光学的手法を細菌の動態解析に応用し、環境評価や環境改善に役立てることである。この目的のために、本研究では以下の通り、室内実験と現場調査の2つに分けて作業を進めた。 室内実験では、これまで大腸菌をモデルとしてその環境適応を知るために、細胞内のタンパクを蛍光抗体法を利用して解析する方法を確立することから開始した。そのため本研究費で購入した蛍光分光光度計を活用して、抗体の蛍光強度やスペクトルの測定を行なった。結果として大腸菌においてはシグマタンパクなど環境適応の分子機構を蛍光抗体法で測定することができ、底泥や水の現場の細菌に応用できる見通しがついた(論文1,2)。 現場実験ではフローサイトメータを活用した微生物の群衆構造の把握から開始した。底泥の細菌を直接フローサイトメータで計数するためには各細菌の抗体を作成しなければならないので、その手始めとして水中および底泥中のピコプランクトンの計数から着手した。その結果、自家蛍光をもつピコプランクトンをその蛍光の違いによって識別できることができ、各細菌に対する抗体ができ次第、細菌群の構造解析ができる見通しがついた(論文3,4,5)。 また、鹿児島湾の約60ヶ所から試料を採取し、底質および水質について分析を行なった。その結果、鹿児島湾の富栄養化の進行の程度は大きく、早急な対応策が必要なことを指摘した(論文6,図書1,2,新聞報道等)
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