研究課題/領域番号 |
12660181
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
田口 哲 創価大学, 工学部, 教授 (40277877)
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研究分担者 |
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50260518)
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
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キーワード | 紫外線 / UVB / 光分解 / 溶存有機物質 / 植物プランクトン |
研究概要 |
初年度に引き続き、今年度も真鶴沖定点で毎月1回の海洋観測を行い、空中及び水中の紫外線UVBとUVA、及びPARの測定を行った。同時に、水温、塩分栄養塩の測定を行った。また、植物プランクトン色素及び懸濁有機物質の測定を行った。5・6月に植物プランクトンの大増殖が見られ、それに伴って懸濁有機炭素量も最大値を示した。海水中への紫外線の透過率は波長が短くなるにつれて減少し、波長305nmのUVBでは、年平均でPARの透過率の10%以下であった。波長305nmのUVBの1%透過層は4〜20mで、今まで考えられていた以上に真光層の表層30%位までに達することが明らかとなった。今年度の試料は引き続き、現在分析中である。 さらに室内では海産珪藻Thalassiosira weisflogiiを実験対象種として、培養液中に自然界に存在する溶存有機物の影響を取り除くため人工海水を作り、紫外線を含む可視光下で培養して、人工海水の有効性の評価を試みた。培養条件は、栄養塩制限が起こらないように、充分の栄養塩を与えた。また、紫外線量及び可視光量は真鶴沖定点での夏季の値に調節した。この時期得られた成長速度は、初年度真鶴沖の海水を用いて行った実験の成長速度1.7/日より明らかに遅く、最大に達する濃度も明らかに低かった。この比較は人口海水中には、自然海水中に含まれている未知の物質が欠けていて、それが係争の成長を制限していることが示唆された。しかし、生産された溶存有機物はUVB領域で、特に自然海水に存在している溶存有機物の影響がないので、UVB領域で明確に検出することができることが明らかとなった。今後は人工海水をより自然海水に近い溶存有機物成分で作成して、細胞の最終収量を充分に大きくして、各種の測定に供することができるように改善を図ることが必要であることが明らかとなった。
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