研究概要 |
平成12,13年度の研究により、二酸化炭素と低温こよるボツリヌス初期発芽生理に及ぼす影響について検討した結果、胞子発芽初期現象と低温・二酸化炭素気相の関係が経時的に詳細に明らかとなり、また、光屈折性を喪失や耐熱性の消失が菌株の違いにかかわらず普遍的に認められた。このように二酸化炭素処理によりボツリヌスE, B型菌の耐熱性が消失することから、カニなどの水産食品やその他の加熱緩和チルド食品の殺菌に応用できる可能性を考え、最終年度である本年度研究では、この点を重点的に検討した。 Clostridium botulinum type E (Iwanai)の胞子液をTPGY培地に塗抹後、CO_240%(N_260%)、およびN_2100%でガス置換包装し、5、10℃で4、8時間培養した。培養後、耐熱性試験(洗いこみ試料を60℃で30分加熱処理し、生残胞子数を計数)を行った。また、カニ肉にIwanai、ジャガイモ、鶏肉にQCの胞子液をそれぞれ接種し、耐熱性試験を行った。その結果、N_2区では耐熱性消失(加熱処理による胞子の死滅)が確認されず、CO_2区では10℃培養においてのみ確認された。また、すべての食品において耐熱性消失が確認されたが、カニ肉、鶏肉では、ジャガイモに比べ耐熱性消失が短時間のうちに起こり、死滅した胞子数も多かった。以上の結果より、CO_2ガスを利用した本加熱殺菌法は低減加熱食品における低温増殖性ボツリヌス菌胞子の殺菌条件緩和において有効であると示唆された。 以上の成果は平成12年度当初の計画をほぼ達成したと考えている。
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