研究課題/領域番号 |
12660187
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
荒川 修 長崎大学, 水産学部, 助教授 (40232037)
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研究分担者 |
高谷 智裕 長崎大学, 大学院 生産科学研究科, 助手 (90304972)
西尾 幸郎 四国大学, 短期大学部生活科学科, 教授 (00122557)
野口 玉雄 長崎大学, 水産学部, 教授 (40011910)
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キーワード | ドウモイ酸 / カイニン酸 / トラフグ / 養殖 / 寄生虫 / はだ虫 / カリグス / LC / MS |
研究概要 |
本年度は主に、紅藻マクリから得られ、化学構造や生物活性がドウモイ酸(DA)と非常によく似た駆虫成分カイニン酸(KA)につき、養殖トラフグ寄生虫の一つであるはだ虫Pseudocaligsu fugu(以下カリグス)に対する駆除効果を検討した。 これに先立ち、まず、LC/MSによるDAとKAの微量分析法の確立を試みた。ZSpray^<TM>MS検出器(ZMD)を搭載したalliance LC/MSシステム(Waters)を用い、Puresil C18カラム(Waters、4.6×250mm)と1%酢酸-8%アセトニトリルの組み合わせでLCを行った後、スプリッタを介して溶出液の約20%をMSのイオン源に導入し、ESI法(ポジティブモード)によりイオン化したところ、DAとKAは、選択イオンそれぞれm/z 312および214をモニターすることにより、非常に感度よく検出・定量できた。 次に、カリグスが寄生した養殖トラフグにつき、14〜128ppm KA、100ppmホルマリン、もしくは100ppmマリンサワー添加淡水を用い、5〜20分間の薬浴試験を行ったところ、フグ体表からのカリグスの離脱率Rは、ホルマリンおよびマリンサワーの場合、100ppm、20分間の薬浴でも70%程度であったのに対し、KAでは濃度64ppm以上、かつ15分間以上の薬浴で100%に達した。他方、64ppm、20分間のKA薬浴に付したフグにつき、各組織のKA含量をLC/MS法により測定したところ、いずれも2μg/g未満で、KA残留は認められなかった。 以上、KAはカリグスの駆除に極めて効果的で、かつ安全な薬剤であることが示された。KAの駆虫効果は、DAよりは若干低かったが、DAの原料となるハナヤナギに比べてマクリの資源量は多く、大量の薬剤をより容易に調製することが可能と考えられる。
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