研究課題/領域番号 |
12660188
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
望月 聡 大分大学, 教育福祉科学部, 助教授 (80210087)
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研究分担者 |
佐藤 健司 京都府立大学, 人間環境学部, 助教授 (00202094)
安藤 正史 近畿大学, 農学部, 講師 (80247965)
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キーワード | マサバ / V型コラーゲン / 鮮度保持 / 致死条件 / 貯蔵温度 / 死後変化 |
研究概要 |
大分県では生食可能なマサバを供給している。マサバは一般に「サバの生き腐れ」といわれ、生食されることはなかった。これまでに研究代表者らは、生食可能なマサバがなぜ供給できるかを解明するために、マサバの致死条件や貯蔵温度が死後硬直や鮮度の指標となる筋肉中の核酸関連物質の量的変化及び筋肉破断強度に対する影響を検討してきた。その結果、致死条件や貯蔵温度がマサバの死後変化に対して大きく影響を及ぼすことを明らかにした。これらの結果をふまえて、本研究では、魚類の筋肉破断強度に大きく関連していると考えられている筋肉中のV型コラーゲンの変化に着目して、致死条件や貯蔵温度がマサバ筋肉中のV型コラーゲンの変化に対する影響を検討した。本年度の研究によって得られた知見は以下の通りである。 1.即殺したマサバと苦悶死させたマサバの筋肉中の酸可溶性V型コラーゲンの割合の変化を経時的に測定したところ、即殺したときに比べ、苦悶死させた場合の方が酸可溶性V型コラーゲンの割合が増加するまでの時間が短かった。また、魚類のV型コラーゲンの変化が24時間以内というきわめて短時間の間に起こることが初めて明らかにされた。 2.1.の現象については光学顕微鏡の観察結果からも支持された。すなわち、致死直後には密着している筋肉細胞同士が離れ、細胞と細胞の間に生じる隙間の出現は、苦悶死させたマサバの方が即殺したマサバに比べて速かった。 3.即殺したマサバを0℃または5℃で貯蔵して細胞隙間の出現する様子を光学顕微鏡で観察した。その結果、致死後の筋肉破断強度が有意に高く推移した5℃貯蔵においては、0℃貯蔵の場合より、細胞隙間の出現する時間が遅れた。 これらの知見は、致死条件や致死後の貯蔵温度がマサバ筋肉のV型コラーゲンの崩壊に対して影響を与え、このことが、生食したときのマサバ筋肉の歯ごたえの強さの違いに反映されるものと推測された。
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