従来の食料需要分析では、ヨーグルトなどのカテゴリーレベルの分析が主流であったが、その結果、近年の消費者の多様な食品の需要行動を十分に捉えられないという限界もあった。最近になって、POSデータなどの利用により、カテゴリーレベルからブランドレベルまで、食品の需要分析は進展してきたが、それでも消費者の食品に対する選好を十分には分析しきれていない。そこで、本研究では、食品に対する消費者の選好を味覚の官能検査を通じて把握し、それと価格データを組み合わせることによって、より詳細な食料需要分析を可能にすることを目的としている。 初年度である平成12年度には、資料の収集や既存の研究についてレビューすると共に、いくつかの加工食品を取り上げて、官能検査等を行った。主に対象とした食品は、豆腐(もめん豆腐、絹こし豆腐、寄せ豆腐)、ヨーグルト(プレーン・ヨーグルト、ハード・ヨーグルト)である。それぞれの食品カテゴリータイプごとに市販されている数アイテムを購入し、検査を行った。また、検査のパネラーは、研究代表者の所属する研究室の学生に限定した。 検査の結果、明らかになったこととしては、(1)地場の中小企業が生産している伝統食品である豆腐において、アイテム間での消費者の評価の格差が比較的はっきり出たのに対し、大手の食品メーカーが生産しているヨーグルトでは相対的に評価の格差が小さいこと、(2)プレーン・ヨーグルトに比べてハード・ヨーグルトの方が、アイテム間での消費者の評価の差がはっきりと出る傾向があること、などが上げられる。 初年度であり、検査方法についても未熟な面があり、十分に分析しきれていない面もあるが、次年度に向けて、課題が明確化されると共に、検査の実施方法についてのノウハウを蓄積できたことも今年度の成果であった。
|