本研究では、食品に対する消費者の選好を味覚の官能検査を通じて把握し、それと価格データを組み合わせることによって、より詳細な食料需要分析を可能にすることを目的としている。 2年度目に当たる平成13年度には、新商品開発に伴って実施されたアンケート調査をもとに解析を行った。このアンケート調査は、2001年11月に東京において実施され、有効回答数は334であった。このアンケートでは、新商品に関する消費者の味覚はどのような評価を下しているかを尋ねているほか、消費者の性別年齢など若干の属性についても評価している。また、感覚的な評価を価格と関連づけるために、適正と思われる価格も尋ねている。 解析の結果、(1)消費者の味覚による評価は、性別・年齢などの属性により、かなり大きな差があること、(2)伝統的な性格の強い食品については、評価のばらつきが少ないが、新商品としての特徴を強調した食品については評価のばらつきが大きくなること、(3)味覚の評価が高いことと価格の評価が高いことは必ずしも結びついていないこと、などが明らかになった。 昨年度、実施した小規模な官能検査の結果もふまえて考えてみると、消費需要分析の枠組みで本研究課題を整理していくためには、やはり所得などの家計の属性と味覚の評価の関連を捉えることが必要であると思われる。アンケート調査や限られた人数のパネラーについての官能試験の分析では所得についてのデータが得られないことと家計や消費者の属性についてのデータが不足しているために、詳細な需要分析に踏む込めないという限界が明らかになったので、POSデータとパネルデータを組み合わせて、相互に補完させていく必要が出てきた。このため、次年度での研究の展開に向けて、現在、POSデータとパネルデータの分析にも取り組んでいる。
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