研究分担者 |
生源寺 真一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40196580)
工藤 昭彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00073966)
合田 素行 農林水産省, 農業総合研究所, 上席研究官
大村 道明 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70312626)
茂野 隆一 筑波大学, 農林学系, 助教授 (60292512)
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研究概要 |
初年度は現状把握,及び地域社会開発に先進的な取り組みを行っている農協について調査した.この結果,農業分野で従来指摘されている諸問題が近年一層深刻化していることが判った.中山間地域問題を解決する方法として,農業生産法人等による営農受託がある.岩手県花巻農協を母体とする「プロ農夢」は,健全な経営が特徴である.一因として,営農受託型の法人は営農条件の悪い土地を委託される場合が多かったが,プロ農夢では条件有利な平野の水田を受託できたことが挙げられる.つまり,平野部でも既に相当な耕作放棄,営農不能が進行しつつあるということだ. また,現状の農協が抱える問題も更に深刻化している.農協は経営合理化の為大型合併を行っているが,大規模化によるリストラは,農家対応の悪化を招いている.結果,農家は系統出荷への魅力,信頼性を失いつつあり,その今日的な存在理由が問われている. 一方,欧州では,農業と地域開発・運営の関係が日本とは決定的に異なることが判った.特に北欧では,農業(林業)による地域へのエネルギー供給という,日本には見られない関係がある.これは,再生可能エネルギー利用を目的に,農業サイドでエネルギー作物の作付,家畜糞尿や生ゴミからのバイオガス回収,地域サイドでその積極的な利用(地域熱供給,バイオガスバス等)が行われている. 地域開発・運営は,新たな産業開発や土地改良等ではなく,日本農業の持続可能性の確保と,その為の開発・運営であることが最も重要であることが判った.欧州の例のように,今後日本の農業分野で積極的に資源・エネルギーの再生利用に取り組むことにより,農業の活性化を図るとすれば農協の持つ労働力・資本力は極めて重要な役割を持つ.
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