研究概要 |
前年度の続きとして、WTO交渉で最大の争点になると予想される輸出補助金問題を扱うために輸出補助金を考慮しうるようモデルを拡張し、そのモデルを利用して国際乳製品市場における輸出補助金の影響を分析し、庄野千鶴・川口雅正・鈴木宣弘「関税を導入した国際貿易空間均衡モデルへの輸出補助金の導入と国際乳製品市場へのその適用-完全競争市場の場合-」『九大農学芸誌』第55巻2号、2001年、259-296頁として公表した。この分析を脱脂粉乳市場について,さらに深め、川口雅正・庄野千鶴「WTO体制下の国際脱脂粉乳市場における輸出補助金削減効果について-国際貿易空間均衡モデルによる一接近」矢田俊文他編『グローバル経済下の地域構造』九州大学出版会、2001年、287-314頁として公表した。 次に、国際乳製品市場に関する補足的分析として、米国における連邦ミルク・マーケテイング・オーダーにおける飲用乳価プレミアムの水準と米国の生乳市場構造との関係を分析し、Kawaguchi, T., Suzuki, N., and H. M. Kaiser 'Evaluating Class I Differentials in the New Federal Milk Marketing Order System' Agribusiness, Vol. 17, 2001, PP. 527-538)として公表した。また開発途上国の乳製品市場と酪農の発展方向に関する補足的分析を行い、Chu, T. K. Loan・川口雅正「ベトナムおよびタイにおける酪農の発展方向に関する比較研究」矢田俊文他(仮)編『グローバル経済下の国際地域環境』(仮題)九州大学出版会、2002年(刊行予定)、として公表する。 穀物市場は収量の気候変動やそれに伴う価格変動が大きく、リスクを考慮した新たな均衡概念を導入する必要があると考えるようになった。次年度でこの新たな均衡概念を取り入れた斬新な分析を展開し、国際穀物市場の分析を行う。
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