研究成果報告書(A4版140ページ)に示された研究実績の概要は次のとおりである。本補助金申請前のモデルを出発点として、輸出割当と最低輸出価格を導入した国際貿易空間均衡モデルを展開し、論文[1]として公表した。続いてこれまで展開してきたモデルに一般的に解が存在することを証明し、論文[2]として公表した。さらにWTO交渉で最大の争点になると予想される輸出補助金問題を扱うために輸出補助金を考慮しうるようモデルを拡張し、そのモデルを利用して国際乳製品市場における輸出補助金の影響を分析し、論文[3]として公表した。この分析を脱脂粉乳市場についてさらに深め、論文[10]として公表した。論文番号は裏面の論文番号を意味する。 このような研究の中で、穀物市場は収量の気候変動やそれに伴う価格変動が大きく、リスクを考慮した新たな均衡概念を導入する必要があり、かつ流通経路が複雑で従来の単純化された流通ルートに対して、より具体的な流通ルートを考慮しうるモデルの展開が必要であるとの結論に達した。このような観点から従来の空間均衡モデルの展開方向に関する分析を行い、論文[4]として公表した。またこれまでに開発したモデルをより具体的な流通ルートを考慮しうるよう一般化し、論文[5]として公表した。リスクを考慮した新たな均衡概念に基づく国際貿易空間均衡モデルの展開も基本的には完了し、その成果を学会等で発表した。 その後日本とメキシコの間のFTA交渉に関連して、国際貿易空間均衡モデルへの差額関税制度の導入に関する研究を行い、モデルの理論的展開および均衡解の求め方に関する研究成果を、論文[6]、[7]、[8]として公表し、わが国の豚肉市場への輸入制度変更の影響の実証分析を行い興味深い結果を得ており、この成果は論文[9]として公表予定である。なお[9]以外の論文は本報告書にそのまま収録されている。
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