本研究では、農村経済改革以降(1979〜99)における中国の畜産物生産規模と飼料消費動向の把握を目的とし、畜産部門別、地域別食肉生産構成、飼料消費の実態と効率、および食糧需給全体に及ぼす畜産物消費増大の影響等について、日本との比較を含めて調査研究を行った。成果発表は準備中であるが、研究成果報告書は、食肉生産統計の接続と生産量推計、飼料用食糧の消費実態と効率、畜産経営における食糧利用量の推定、および食糧需給に及ぼす畜産物消費増大の影響についての考察から構成されている。 1.従来接続されていなかった1996年以前とその後の食肉生産統計を接続させるとともに、生産量と消費量の乖離から過大に統計されたと思われる食肉生産量の再推定方法を考案し推定作業を行った。これらの作業によって屠畜規模と食肉生産量を部門別、年度別、地域別に確定し、畜産物の生産構造が地域資源条件、畜産経営形態、および貿易構造等に大きく依存していることを明らかにした。 2、7省域での実態調査、畜産農家の経営分析、および日本との比較研究を通して主要畜産部門の飼料消費実態と利用効率を明らかにした。1979年からの20年間において養豚と採卵鶏経営おける飼料利用効率がそれぞれ45%、91%向上し、畜産経営における技術進歩、草食家畜のシェア増大、および残飯や副産物を有効に利用する零細有畜農家の存在が飼料用食糧の節約に大きく貢献したことを判明した。 3.食肉生産動向の把握と飼料利用効率に関する検討結果に基づいて空白に近い飼料用食糧の消費規模を畜種別に推定し、1979〜99年期間において飼料用食糧が食糧生産量の16%程度からを35%に上昇したことを明らかにした。
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