研究概要 |
本年度は,バイオビジネスにおける経営者行動を大きく規定する経営者能力を評価するための視点と評価方法,実践的なケーススタディが備えるべき条件を検討した。得られた成果の概要は,以下のとおりである。 1)経営者能力を規定する大きな要因としては,<経営者の人格的な側面>と<経営者としての行動特性>の2つの区別が重要である。 2)経営者の人格的な側面を評価するためには,(1)野心的か慎重か,(2)理念型か現実型か,(3)データ重視の姿勢,(4)プラス主義か減点主義か,(5)親分肌か実務型か,(6)責任感,(7)心身の健康度,(8)性格の明るさ,等が重要であるとの仮説を設定し,調査票を作成した。 3)経営者としての行動様式を評価するためには,(1)組織変革に対する姿勢,(2)自己変革への意識,(3)部下へのチャンス提供,(4)苦情への対処,(5)消費者・社会への貢献意識,(6)時間の使い方,(6)部下や業績の評価方法,(7)社員に対する動機付け,(8)技術開発に対する考え方,(9)経営者としてのネットワーク作り,(10)意思決定の特徴,(11)リスクに対する考え方,(12)ステークホルダーとの関係,(13)会社における責任体制,等が重要であるとの仮説を設定し,調査票を作成した。 4)一方,実践的なケーススタディが備えるべき条件としては,(1)経営者の育った環境,人格形成に大きな影響を及ぼした重要な出来事を歴史的な視点から整理すること,(2)経営者の意思決定メカニズム(複数の要因とその相互関係の解明)の把握,(3)意思決定に用いられた量的・質的データ,価値観とそれらの活用のされ方等の情報が重要であるとの仮説を設定し,調査票を作成した。
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