今年度は、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナムを訪問し、コメ政策の現況についての情報を収集すると同時に、各国における国際競争力の指標である、DRC(Domestic Resource Cost)を推計するために必要な、生産費、生産物・生産要素の価格、生産要素の輸出・輸入統計、名目為替レート、CPI、国際収支、国民所得統計などの統計資料を収集した。また、タイにおいては、東北部スリン県で、Jasmine Riceの生産と流通に関する実態調査を実施した。 以上の調査・研究活動によって得られた知見にもとづき、フィリピン、タイについては、国際競争力の推計を行い、コメ政策の方向について考察した。フィリピンについては、90年代に入って国際競争力が低下しているという従来の指摘に反して、依然、国際競争力を保持しているが、今後については、労働節約的技術進歩の進展如何で、競争力が低下する可能性のあることを、明らかにした。一方、タイについては、通貨危機以降のバーツ安により、タイ米の国際競争力が向上していること、およびJasmine Riceについては、その技術的特性から、何らかの労働節約的技術革新が無ければ、競争力の低下が見込まれることを、明らかにした。 インドネシア、ベトナムについては、来年に分析を行い、4カ国の比較をすることによって、AFTA、WTO体制下での東南アジアにおけるコメの貿易体制を予測したい。
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