研究初年度(2000年4月〜2001年3月)は九州圏内に立地する青果物卸売業者を中心に、経営上の戦略的費目についてその実態調査を実施した。 青果物卸売市場の実態調査結果をまとめれば、(1)合併による川上・川下市場の大型化・巨大化であり、地域農協の合併による産地の大型化及び小売・仲卸店の倒産・廃業と小売業界のインテグレーションを挙げることが出来よう。その結果、産地からの指定市場の絞り込み、セリ取引の形骸化が進展していることである。(2)川上・川下市場の競争激化で、川下では大店法の規制緩和と小売市場の開放化(カルフールの上陸)の進展、川上では植防法の規制緩和による海外園芸農産物輸入の急増である。その結果、卸売市場業務の経費を償う価格が形成できず、経営を圧迫し始めたことである。とは言っても、卸売市場経営の合理化には改善の余地があり、総取引金額と車輌保有台数との間には明瞭な相関が存在しないことである。(3)消費者ニ-ズの多様化・高級化と消費(実需)形態の多様化であり、家計調査年報によれば、青果物の原体調達量は確実に減少してきている。しかし、半製品・完成品(調理品)の調達量は拡大しており、卸売市場経由量が減少していることである。他方、今後消費家計に於けるスローフード運動がどの程度進展するか、見極めることも大切である。(4)少子・高齢化社会の到来で、農村社会における高齢化・後継者難の急速な拡大が憂慮されているが、卸売市場経営安定のために、農村在住の高齢者を集めた画期的な試みが始まっている。(5)IT革命と情報化社会の到来で、IT革命が卸売市場経営の合理化に役立つ機能を保持しているにも拘わらず、経営者が十分認識していないことである。
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