2001年度は本研究の中間年度に当たり、本格的な研究資料の収集と分析に当たった。 国内では狂牛病が発症し食肉類の買い控えが青果物の買い控えにまで影響するに及んで、青果物業界は稀にみる不況に襲われた。これに加えて2001年9月11日に発生した米貿身センタービルの爆破テロ事件が消費者心理を冷え込ませてしまった。 つまり、川下の外食産業・スーパー業界の大型倒産が相継ぎ、それへの納入を行ってきた青果物仲卸企業の連鎖倒産へと発展し、仲卸企業が商品を仕入れる卸売企業の焦付き赤字の発生となって、今や卸売企業の経営を揺さぶる結果を招いている。青果物の卸売市場には精算会社が設立されており、買参人の倒産による卸売企業への影響はないものと考えられてきたが、実際には卸と仲卸との取引の過程で、持ちつ・持たれつの関係が生じており、隠れ負債が発生しているのである。 他方、川上の供給サイドに眼をやると、既存の市場流通を経由しない商社・大口需要者(外食産業・惣菜加工・漬け物加工業者等)との輸入青果物の直接取引によって、卸売市場の価格が低落化傾向を示しており、日常業務を通じての赤字発生を見逃すことは出来ない。一体全体買受人の倒産による赤字発生が経営を圧迫しているのか、又は日常業務を通じての赤字発生が経営を圧迫しているのか、どちらのウエイトが大きいのか明確にすることが求められており、この課題への挑戦が最終年度の最大の課題である。
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