本調査研究対象期間は平成12年から平成14年に亘る3カ年間であり、それぞれの年次毎に九州圏内に立地する園芸農産物(花きを含む)卸売市場の実態調査を実施した。殊に、今年度は大きくわけて2種類の調査を実施した。その第一は、中国大陸から青果物の輸入を実践している卸売会社(荷受)の輸入実態を調査し、第二には卸売市場体制を支える仲卸企業を対象に、その経営実態について調査を実施したことである。 第一の調査内容を具体的に説明すれば、中国大陸の個別農家が生産する野菜類の生産費データの収集・中国大陸の野菜類の拠点集出荷場所から拠点積出港(青島港)までの搬送コスト、及び拠点積出港からジャパンポートまでの船積み輸送コスト、これに市場までの搬送コストを加えた生産出荷コストの全てを調査したのである。勿論、野菜フレッシュ輸入と野菜調整加工輸入とでは輸送コストが異なるので、野菜フレッシュ輸入を中心に分析することにした。他方、中国国内で生産されている野菜類と同一の野菜をわが国内で生産した場合、どの程度の生産・出荷経費が懸かるのかについて収集・分析しなければならない。 勿論、上記のような専門的なデータを収集するためには公的研究機関・物流産業界・総合商社等への調査協力が不可欠であり、困難な調査課題であったが、各関係機関の熱心な協力を得て必要データを確保する事が出来たので、近日出版物として公表する。 こうした調査とは別に、科研申請時に承認された調査課題を完遂するために青果物仲卸企業の調査を実施した。現今の経済情勢から、中央卸売市場の合併問題が喫緊の課題であり、それを開設している九州圏内の中核都市に限定して実施した。
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