水田流域とその水質のバックグラウンドを与える山林流域において、水質水文調査を実施し、水田流域での水質浄化機構上で重要となるモデル構築の要素抽出を行った。山林流域では、観測流量は、低平水時では1mm/d前後で推移するものが多かったが、降水が少なかった時の基底流出は、両流域とも0.5mm/d程度にまで減少していた。しかし、降水のある日には比較的鋭敏な流量増加がみられ、降水後は速やかに1mm/d程度にまで低減することが多いという結果を得た。水文流出率は、約30%となった。このことは、数値的には、降水量の7割が蒸発散として大気中に失われることを意味しているため、その妥当性について考察した。そして、研究対象とした流域の水質と負荷量の影響を評価した。循環灌漑水田流域では、窒素、リン、CODでは、用水として供給される斐伊川の水質が最も低いが、リンとCODでは、排水河川を流下するにしたがって水質低下の傾向がみられた。しかしながら、窒素では、あまり水質に変化はみられなかった。一方、DOでは、斐伊川の濃度が最も高く、これが有機物分解に寄与していると考えられた。T-N、T-P、CODについて、流下過程における濃度変化と降水量との関係を調べると、必ずしも明確な関係は認められなかった。リンとCODは、懸濁物質との関連性が強いことから、これには、流速の緩慢な排水河川や遊水池での沈殿や好気分解が寄与していると考えられた。リンとCODは、懸濁物質との関連性が強いことから、これには、流速の緩慢な排水河川や遊水池での沈殿や好気分解が寄与していると考えられた。調査対象流域における水理学手的平均滞留時間と浄化量との関係を考察すると、いくつかの例外はあるものの、滞留時間が長くなるにつれて浄化量が増加する傾向があることが分かった。
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