研究分担者 |
岡部 為信 九州大学, 農学研究院, 助手 (60091378)
肥山 浩樹 九州大学, 農学研究院, 助手 (10208788)
東 孝寛 九州大学, 農学研究院, 助教授 (00181066)
田中 洋行 国土交通省, 港湾技術研究所・地盤調査研究室, 研究室長
江頭 和彦 九州大学, 農学研究院, 教授 (20038293)
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研究概要 |
粘土層の塩類溶脱は,海水あるいは汽水状態で堆積した粘土層が,地質学的な時間スケールで被圧地下水にさらされることにより起こる。また人為的な行為,例えば,地下水のくみ上げによる粘土層中の水の移動,干拓に伴う表層水の粘土層への浸透,淡水湖の建設による淡水の粘土層での移動なども塩類溶脱の原因となりうる。本研究では,再圧密の有明粘土試料と乱さない有明粘土試料に塩類溶脱を施し,間隙水中の塩濃度の変化,溶脱による物理的性質およびせん断強度の変化について調べた。 実験に用いた試料は,再圧密粘土としては廻里江干拓から採取したもの,不撹乱粘土としては有明干拓から採取したものを用いた。再圧密粘土の塩濃度は6g/L,不撹乱粘土の塩濃度は3〜6g/Lの範囲であった。塩類溶脱のための浸透水量の増加により間隙水中の塩濃度は,再圧密試料では双曲線的に減少し,乱さない試料では直線的に減少した後ほぼ一定となった。間隙水に含まれる4〜19g/Lの塩濃度を0.05g/L以下に低下させるのに,間隙水量の約3〜4倍の浸透水量が必要であった。溶脱後のせん断強度は,乱さない供試体については,ベーン試験とフォールコーン試験により,練返した後の供試体についてはベーンせん断試験により測定した。再圧密粘土については,上載圧力39.2kPaのもとで塩濃度が6g/Lから0.06g/Lまで低下するとき,液性限界は108%から85%まで減少し,その結果液性指数は0.93から1.42に増加した。不撹乱せん断強度はほとんど変化せず,練返し強度は1.6kPaから0.16kPaに減少したので,鋭敏比は6から54に増加した。同様に不撹乱粘土については,溶脱により液性限界は120%から95%に減少,鋭敏比は23から700に増加した。
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