1年目は表皮の画像データベースを作成するため、被写体を一定間隔で回転させながら静止画像を撮影し、その一部を切り取って表皮全体の合成画像を作成するための装置について検討した。その結果、直径100mm程度の円筒あるいは球状のものは、回転角5°で撮影し合成画像を作成すれば、ゆがみの少ない展開画像が得られることが分かった。 2年目は試作した被写体回転式展開画像作成装置を用いて、果実の表皮情報と内部品質の関係について、実験的に検討した。 表皮等の外観情報が消費者の選択を左右する代表的な果実としてリンゴを取り上げた。むつ、サンふじ、紅玉の3品種を5玉ずつ供試して、表皮情報を画像データとして取り込んだ。次に、典型的な内部品質として糖度を取り上げ、表皮から5mm内部の果肉糖度を測定した。コルクボーラーを用いて等間隔に40点のサンプルを採取し、ブリックス糖度計を用いて測定した。 画像データの特徴量を求めるため、リンゴの極部分のデータを除いた画像について、RGBの輝度値の分布について検討した。画像を大きさの異なる部分に分割し、その部分でのRGB輝度値の分布を平均と分散で表し、分割数を横軸にしてプロットすると、分割数と分布に特定の関係があることが判明した。これを画像の特徴量とした。 次に画像の色情報と糖度との関係について検討した。取得した画像データをHSI色空間に変換し、糖度と色との関係を調べた。色が明確に変化するリンゴむつでは、色の変化と糖度の変化については相関が高いことがわかった。しかし、紅玉やサンふじでは明確な関係が得られなかった。表皮と内部品質との関係をより詳細に調べるためには、糖度以外のデータについてサンプル数を多くして収集する必要が指摘された。
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