研究概要 |
今年度の成果は以下のとうりである。 1.プッシュ型摂餌要求センサの先端部の色の影響を金魚で検討した。異なるカラーゴムで被覆された太さ2mmのセンサを同一水槽に設置し,それへの突き回数を測定した。その結果,赤,白,黄色のセンサへの突き回数が相対的に他の色(青,緑,水色,灰色)のものより多かった。黒色は,金魚大(平均体重15.5g)では多く突かれたが,金魚小(平均体重3.5g)では少なかった。供試魚にとって,水中で認識しやすい色のセンサが活発なセンサ突き行動を誘発する傾向が認められた。 2.プッシュ型摂餌要求センサの太さの影響金魚で検討した。異なる太さのステンレス線(太さ0.4mmから6mmまで,色はステンレス鋼のまま)を同一水槽内に設置し,それへの突き回数を測定した。その結果,金魚大(平均体重15.5g)では直径6mmのものが最も多く2mmを下ると急激に突き回数は少なくなった。金魚小(平均体重3.5g)でも2mm以下は少なく,太くなるに従い突き回数は増加したが,直径3mmを超えると突き回数はそれほど変わらず飽和する傾向を示した。供試魚の口のサイズと同等以上の太さのセンサが相対的に供試魚が突き行動を行う上で抵抗が少ないと推定された。 3.小石や餌を咥えたり引張ったりする索餌行動をする魚種に適したプル型のスイッチセンサを3種類試作し,そのうちの2種類でマダイ,クロダイ,金魚で自発摂餌できることを飼育実験により実証した。 4.安定な自発摂餌となるまでの過程(自発摂餌学習過程)に影響する摂餌要求センサの影響調べるために,金魚を用いてプル型センサと光ファイバーセンサの設置変更による自発摂餌学習過程を調べた。その結果,プル型センサでは設置初期で1日目からセンサへの引張り行動は始まるものの,自発摂餌学習期間は10日から2週間ほど要した。光ファイバーセンサでは,設置初期から活発にセンサへの突き行動を行い,4,5日で学習したと思われるが,回路変更により他の水槽位置の光ファイバーセンサへの適応には10日以上要した。
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