研究概要 |
平成14年度の研究成果は次のとおりである。 1.タナゴを対象として,摂餌要求センサ入力が行われてから給餌されるまでの応答時間の影響を調べた結果,応答時間300秒まででの自発摂餌行動の確認ができた。しかし,センサの応答時間を20秒程度に設定することは,魚の自発摂餌行動を妨げる要因の1つとなるとみなすことができた。 2.光ファイバーセンサ(以下光センサ)を用いた養殖魚の自発摂餌システムでは、これまで、0.2gサイズから1kgを超える成魚のマダイをはじめ、クロダイ、金魚、タナゴ、アユで実証されてきた。本年度ではブリ、トラフグの稚魚を対象魚として、光センサの適応性について検討し,トラフグ稚魚に関しては,赤色光、近赤外光とも自発摂餌が行われ,一水槽を除いて0.5%/day程度の日間成長率、50〜75%程度の給餌効率が得られた。ブリ稚魚については、赤色光、近赤外光とも良好な自発摂餌が行なわれ、摂餌リズムについては、夜間摂餌と朝夕の2峰性のリズムが現れた。 3.従来のプル型センサのような疑似餌的センサではなく,口に咥えることのできない接触型センサである回転型摂餌要求センサを新たに開発試作した。このセンサをブリ、ウナギ、ヒラメを対象として,自発摂餌飼育の可能性を探った。その結果,ウナギにおいては、プル型センサと比較実験したところ、回転型センサの方は3日程度で,プル型センサで10日程度で自発摂餌が行われ、給餌効率、成長率共にプル型センサの値を上回るという良好な飼育結果となった。また、ブリについても,自発摂餌が1日程度で開始された。しかし,ブリの回遊性のため,単なる回遊による誤検出のトラブルも一つの水槽で生じ,回転型センサの感度調節の重要性が課題として残された。ヒラメについては,散発的なセンサ入力リズムが現れ,これが実際のヒラメによる摂餌リズムなのか,単発的な遊泳によるリズムなのか,センサノイズなどによる誤検出なのか判定が困難であった。
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