研究概要 |
ガントリ搭載型イチゴ収穫ロボットにおいて、実用化を睨んだシステム構成を構築すべく、確実な果実の認識方法および果実とガクの位置から果柄位置を想定するアルゴリズムと,果柄を引っ掛けて摘み取るフック式エンドエフェクタを開発した。これらにより収穫率の向上を図ると共に、視覚部による果柄の位置検出誤差と、エンドエフェクタによる位置決め許容誤差範囲を求め、収穫作業に必要なロボットの基本仕様を明らかにした。 1. 果実の認識及び果柄の位置検出実験 視覚センサにはカラーTVカメラを、照明にはハロゲンランプ、PLフィルタ、熱吸収フィルタおよびファンモータから構成されるダイレクトライト(DL)を使用した。このDLにより,高い照度と色の再現性及びハレーションのない高画質な画像が得られ、果実認識実験では全ての果実が何ら問題なく認識された。果柄の位置検出実験では、全体の73.1%において誤差6mm以内で果柄の位置検出が行われ、誤差の大きいものは、ガクが枯れていたり、花びらが残っていた事でガクの正常な識別ができなかった事による。 2. 収穫基礎実験 フックによる果柄引っ掛け実験ならびに一連の収穫動作確認を行った。果柄引っ掛け実験は,高精度直角座標マニピュレータを用いて人為的に誤差を設け、フック式エンドエフェクタの位置決め誤差に対する許容範囲を明らかにした。収穫動作確認では、全収穫動作工程における収穫の成否ならびに収穫状況を確認した。その結果、フック式エンドエフェクタの誤差許容範囲は11mm以下で、収穫成功率は約80%、隣接果実を同時に収穫する割合は約10%であり、これまで開発されたエンドエフェクタから大きな改善が見られた。以上から、ガクの認識が適正に行われれば、果柄の位置検出はエンドエフェクタの誤差許容範囲内で行われ、実用的なイチゴ収穫システムが構築できると考えられた。
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