研究概要 |
1.濃厚飼料多給メン羊における天然油脂添加によるメタン放出量の抑制 メン羊4頭を供試し,濃厚飼料と粗飼料の配合比(濃粗比)を8:2として,不断給与量の80%を給与した.サフラワー油(脂肪酸組成:リノール酸74%)を0,2.5,5.0及び7.5%添加する4処理を設定した.サフラワー油無添加に対する呼気からのメタン減少率は,サフラワー油の添加量を多くするほど高くなった.サフラワー油を添加すると,第一胃内容液の酢酸/プロピオン酸比は低く推移する傾向を示し,栄養価は改善された. 2.濃厚飼料多給メン羊における天然油脂添加による増体効果と体脂肪脂肪酸組成の不飽和化 メン羊6頭を供試し,濃粗比8:2,油脂はナタネと大豆の混合油(リノール酸35%)を2.5%添加して,日増体量150gを満たす栄養量を給与する4ヶ月間の肥育試験を実施した.飼料要求率は,油脂添加により改善される傾向だった.屠体と枝肉性状は,油脂添加による差はみられなかった.しかし,油脂を添加すると肥育に伴い皮下脂肪のオレイン酸とリノール酸の不飽和脂肪酸は高く,ステアリン酸は低く推移した.また,油脂添加により,屠殺時のロースとバラ肉のリノール酸が著しく増加した. 3.異なる濃粗比給与下のメン羊における天然油脂添加によるメタン放出量の抑制 メン羊4頭を供試し,濃粗比を8:2と2:8として,体重の2%の乾物量を給与した.油脂は,ナタネ油(リノール酸15%)を飼料(乾物)の5%を添加した.濃厚飼料多給時にナタネ油を添加すると呼気からのメタン放出量が抑制される傾向を示したが,粗飼料多給時では油脂添加によるメタン抑制効果はみられなかった. 今後,天然油脂の不飽和度・不鹸化物とメタン放出量の抑制・肥育効果の関係を検討する必要がある.
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