1.骨格筋の筋節A-I接合部でパラトロポミオシンが結合するタンパク質としてコネクチンを示唆しているが、両者の結合を明確にし、またパラトロポミオシンが高濃度のCa^<2+>で遊離する仕組みを明らかにするため、鶏コネクチン上のパラトロポミオシン結合部位の構造決定を試みている。パラトロポミオシン結合部位の特定を行う上で、β-コネクチンを断片化するための酵素消化条件を検討した結果、SDS-PAGE法により最適な分解条件を見出し、二次元電気泳動法によりβ-コネクチン分解物のペプチドマップを作成した。PVDF膜へ転写後、ビオチン化パラトロポミオシンおよび抗コネクチンモノクローナル抗体をプローブとして、パラトロポミオシンが結合し、A-I接合部領域に相当する43kDa断片を特定した。現在、PVDF膜に転写した43kDa断片のN末端分析を、またゲルから切出した43kDa断片のゲル内消化法および質量分析法による内部アミノ酸配列の決定を行っている。 2.パラトロポミオシンとβ-コネクチンのA-I接合部領域の結合を直接的に調べるため、β-コネクチンのN末端側の一部であり、A-I接合部領域を含む400kDaサブフラグメントの分離・精製を行った。筋原線維をキモトリプシンで限定分解後、400kDaサブフラグメントの粗抽出物を、イオン交換クロマトグラフィー法、ヒドロキシアパタイトアパタイトクロマトグラフィー法、さらに超遠心分離法という一連の方法で精製した。今後、得られた400kDaサブフラグメントを用い、パラトロポミオシンとの相互作用およびパラトロポミオシンの400kDaサブフラグメント上の結合部位を調べる計画である。
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