研究概要 |
前年度に、鶏骨格筋の筋節A-I接合部におけるコネクチン上のパラトロポミオシン結合部位を検索した結果、β-コネクチンのstaphylococcus aureus V8 proteaseによる分解酸物である4個の43kDa断片を特定した。今年度は43kDa断片のN末端アミノ酸配列および内部アミノ酸配列決定を試みた結果、以下の知見が明らかになった。 1,等電点の異なる4個の43kDa断片を酸性側からC1,C2,C3およびC4とし、N末端アミノ酸配列をプロティンシークエンサで分析した結果、C1,C2およびC4断片の配列はそれぞれEGKKHFL---、EGKKHFL---およびYQFRVYAVNK---と決定された。C3断片については分析量が少なく、決定できなかった。 2,決定したC1,C2およびC4断片のアミノ配列を、既知のヒト心筋コネクチンA-I接合部領域に対して相同性検索を行った。その結果、C4断片の配列と80%の相同性を示す既知配列がI-51ドメイン(7556-7565AA)に認められた。C1およびC2断片に関してはV8 proteaseの切断部位特異性が適合せず、非特異的な断片であろうと推定された。 3,報告されている心筋コネクチンのドメイン構造を基にすると、C4-43kDa断片は4〜5個のドメイン(I-51〜A-1)から構成されていると考えられ、この領域は、A-I接合部近傍のFibronectin-3様ドメインの特徴的な並びが認められる領域に良く一致した。 4,さらにC4断片の内部アミノ酸配列を明らかにするために、in gel digestion法でC4断片を内部消化し、消化物のアミノ酸配列の決定を試みたが、分析量が少なく明らかにできなかった。 今後は、A-I接合部領域を含むコネクチンの400kDa断片を材料とし、より詳細なコネクチン上のパラトロポミオシン結合部位を明らかにする予定である。
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