研究概要 |
開発したコンピュータ制御によるSFV(shear force value,せん断力)測定装置によって,食肉のSFVテクスチャープロフィール特性を解析した.これらSFVプロフィールの相違はプロフィールを規格化することで特徴を明瞭にすることができた.SFV_<max>は生肉ではせん断終点,ソーセージではせん断中期に認められた.生肉,ソーセージおよびハムの筋線維を主とする強度の最大値,MFT_<max>,はせん断中期のSFVに対応することが示唆された.SFV_<max>はソーセージでは試料直径と,生肉とハムでは試料直径の1.5乗との間に直線関係(P<0.01)が認められ,理論的推測と一致した.SFV_<max>/MFT_<max>の値と偏差は生肉,ハム,ソーセージの順に大きく,このことは試料中の結合組織の脆弱化に依存するものと考えられた. 加熱によって筋線維の硬化と同時に結合組織の脆弱化による軟化の逆の現象が進行した.SFVプロフィールは生肉では単純な放物線状の増加を示し,最大値がストローク終点に現われた.SFV最大値は加熱によりストローク中点の方向にシフトした.加熱によるストローク中点のSFV_<50>の増加は筋線維の硬化に対応し,逆にストローク終点のSFV_<100>の減少は結合組織の脆弱化に対応した.これら硬軟逆方向の現象は温度-時間-SFVの三次元等高線グラフで規則性が認められ,SFV_<50>およびSFV_<100>は歯ごたえおよび歯切れの食感の指標となった.良好なテクスチャーはパステリゼーション加熱条件に合致した.SFV_<50>と加熱損失や明度との間に正の相関があった.せん断過程における形状変化のシミュレーションは実際の形状とよく一致し,その形状変化の過程が視覚的に明瞭になった.このコンピュータシステムによるSFVプロフィール解析は,さらに工知能や言語表現などによって,より高度なリアルタイムでの感性テクスチャーのヒューマンインターフェースへの発展が期待される.
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