研究概要 |
この研究では,ブタにおける消化管内容物移動とくに小腸と大腸に区分する盲腸内容物におけるマーカー法の確立を行い、給餌飼料ごとにマーカーを変えることで給餌ごとの内容物移動を測定した。盲腸にフィステルを装着して、内容物を経時的に採取できるようにしたブタを用いた。 朝の飼料にコバルドEDTA(液状部マーカー)、塩化イッテルビウム(固形部マーカー)、夜の給餌飼料にセリウムーEDTA(液状部マーカー)と塩化ユーロピウム(固形部マーカー)を用いた。盲腸内容物を2時間、あるいは1時間ごとに採取し、ICPによってマーカー元素の分析をおこない、短鎖脂肪酸の濃度も測定した。すべてのマーカーが給餌4時間後には盲腸に到達しており、最大濃度に達する時間はそれぞれ6,10,8,1(時間後であった。摂取されてから盲腸に到達する時間、すなわち胃・小腸における滞留時間はそれぞれ7.7、13.4、11.2と13.2時間であった。昼夜間の内容物移動を比較すると、夜間で小腸の通過と盲腸からの内容物流出が遅くなる傾向があった。盲腸の短鎖脂肪酸濃度は昼間夜間とも給餌8時間で最大値をとり、発酵には昼間と夜間で差は認められなかった。 この方法をもちいて、乳酸桿菌生菌剤を投与した場合の影響を評価したところ、夜間における盲腸からの内容物、特に固形部の排出が遅くなり、そのことにより盲腸発酵が促進され短鎖脂肪酸濃度の増加をもたらすことがわかった。
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