まず、精子形成開始期前後のヤギ精巣組織から塩化リチウム存在下にてRNAが沈殿する原理を応用した方法を用いて直接RNAを抽出し、これを鋳型とした逆転写反応を行うことによりcDNAを得た。さらに、任意プライマーを用いたPCR増幅を行い、その産物をアガロースゲル電気泳動により分離した。約20種類の特異的DNAバンドが観察された。これらのDNA断片を回収してプローブを作製し、発育段階に特異的なmRNAであるか否かを検討するためノーザンハイブリダイゼーションを行った。さらに、家畜の各種組織中から抽出したmRNAのノーザンブロット解析を行い、組織特異的転写を調べた。精巣組織特異性の高いcDNAが幾つか得られたが、雄性生殖細胞形成に特異的か否かを確かめるためには、標識プローブを作製して発現時期や精巣組織内局在など詳細に検討する必要がある。 次に、精巣細胞をマウスに免疫し、その脾細胞とミエローマ細胞を細胞融合することによりハイブリドーマを作製し、ELISA法および免疫細胞染色法により特異的抗体産生ハイブリドーマをスクリーニングした。その結果、約40個の特異的抗体産生ハイブリドーマクローンを得た。さらに免疫組織染色法により詳細な検討を行い、精子形成期生殖細胞に特異的に反応するクローンを数個樹立することができた。
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