実験4:離乳後も食道溝反射を維持させたホルスタイン種雄子牛12頭(101kg)を3区に分け、1)温湯のみ、L-LysHCl20g/dに加えて2)D-Met24/d、同じく3)L-Met24/dを食道溝経由投与した。基礎飼料としてLysが第一制限となる飼料を給与したがN出納や飼料効率は改善されず、2)区と3)区ではインバランスが示唆され、この水準のMet投与によってD、L型に関わらず血漿側鎖アミノ酸(BCAA)とPhe濃度が減少し、Met、BCAA、Phe巻の拮抗的相互作用は吸収拮抗によらないことが示唆された。なお、血漿Met濃度はL-Met投与時の方が高かった。 実験5:離乳後も食道溝反射を維持させたホルスタイン種雄子牛に1日80g以内のL-LysHClを食道溝経由投与してもLys-Arg拮抗は生じなかったが、1日80g以上を投与すると一時的な下痢が発生した。 実験6:子牛における下痢の原因は塩酸部分ではなく、L-Lys部分にあることを確認した。下痢発生水準のL-LysHCl投与時には、血中、尿および糞中に遊離Lysに加えて遊離のOrnが急増した。一方、尿および糞中に遊離Argはほとんど検出されなかった。この結果、糞へのOrnの移行と下痢との間に関連のあることが示唆された。 実験7:体重約4kgの成猫8頭を用い、3×3ラテン方格法によりドライフードに対して1)DL-Met6%を添加した場合と、2)DLMet6%に加えて等モルずつのL-Arg(7%)とGly(3%)を添加した場合を無添加対照区と比較した。Met6%添加で毒性が生じた。Arg+Glyの添加によっても毒性は緩和されなかったが、Met代謝は促進された(血漿Met濃度減少、シスタチオニン濃度増加)。Met6%添加で血漿BCAA、Phe濃度は減少し、Arg+Gle添加でさらに減少した。
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