研究課題/領域番号 |
12660261
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
佐伯 和弘 近畿大学, 生物理工学部, 助教授 (10298937)
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研究分担者 |
松本 和也 近畿大学, 生物理工学部, 助教授 (20298938)
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 助教授 (70192739)
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キーワード | TGF8 / ウシ / 胚 / クローン / トランスフェクション / 体細胞 |
研究概要 |
Transforming growth factor 8 (TGF8) 遺伝子を破壊し筋肉を増大したウシを作製することを検討している。本年度はマーカー遺伝子を導入したウシ体細胞を用いて作製したクローン胚における遺伝子発現について検討した。以前、ウシ初期胚の遺伝子活性化時期について検討するため、ウシ体外授精胚およびウシ再構築胚にリポーター遺伝子を注入し、遺伝子の発現時期を調べたところ、これらの遺伝子発現は一過性で、モザイクに発現した。そこで、あらかじめウシ卵丘細胞にpβ-act//IRES/EGFP/neorをFuGENE6遺伝子導入試薬を用いて導入した。G418下で10-20日間培養し導入細胞を選択した。EGFP蛍光により遺伝子発現が確認された細胞を用いてクローン胚を作製した。融合後6〜120時間後に経時的にルシフェリン添加培地中で胚の生物発光を検討した。遺伝子導入した細胞由来の再構築胚は、融合後6時間で低率(2.0%)ではあるが生物発光が観察された。12および24時間で、それぞれ、7.8および1.4%の胚で発光が観察されたが、36時間で発光胚は観察されなくなった。その後、48時間で再度発光胚が観察され、48、60、72、96および120時間で、それぞれ、6.0、8.4、6.1、3.4および1.5%の胚で発光が観察された。融合直後からの一時的な発光は、体細胞からの発現タンパク質あるいはmRNAの持ち込みによると推測された.一方、融合後48時間以降の発光は、以前のクローン胚でのルシフェラーゼ遺伝子の一過性発現の時期とほぼ一致したことから、遺伝子導入細胞から再構築された胚内での導入遺伝子由来の新規発現タンパク質由来であると思われた。以上のように培養細胞にあらかじめ導入した遺伝子が再構築されたウシ胚内で発現することが示された。一方で、発現率が10%以下と低いことから、さらにstableな遺伝子導入細胞をクローン化する必要があると思われた。
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