研究概要 |
前年度の結果を基に、市販されている3種の繊維分解酵素剤(A, B, C:それぞれセルラーゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼを含む)とフイチン酸分解酵素剤(P:フイターゼ)の併用効果をラットとミニ豚で検討した。 (1)ラット試験:市販のラット飼料に3種の繊維分解酵素(A, B, C)とフイチン酸分解酵素(P)を併用添加し、消化試験を実施した。試験区は(1)対照区、(2)P区、(3)P+A区、(4)P+B区、(5)P+C区の5区である。各飼料を2週間給与し、後半7日間に糞を採取した。糞排泄量は(2)(3)(4)(5)区は対照区よりも減少した。乾物消化率、繊維消化率は(3)(4)(5)区は対照区と(2)区の双方より有意に高くなり、繊維分解効果が認められた。またフィチン酸分解酵素と繊維分解酵素の併用で、粗灰分消化率、P消化率が高くなった。これは昨年に実施した、繊維源としてセルロースのみを含む精製飼料での試験結果とは異なるものであった。 (2)ミニ豚試験:市販のブタ飼料を用いて、繊維分解酵素剤(A)とフイターゼ剤(P)の併用効果を成ミニブタで検討した。試験区は(1)対照区、(2)P区、(3)A区、(4)P+A区の4区である。繊維分解酵素剤Aの添加により、乾物消化率、粗灰分消化率は改善されたが、フィターゼ剤との併用で、これらの効果は抑制された。なお、フィターゼ剤の添加で繊維分解は抑制される傾向があった。 (3)in vitro試験:ラット飼料、ミニブタ飼料を用いて、各酵素剤の繊維分解能を還元糖生成量で検討したところ、酵素剤Bが最も優れていた。今後は家畜(ブタ)を用いて、酵素剤B、酵素剤Cとフイターゼの併用効果を検討し、実用化の可能性を探る。
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