研究概要 |
(1)ラット試験:セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼを含む3種の複合酵素剤の繊維分解効果とフィチン酸分解効果を、ラットを用いて検討した。なお、給与飼料はスクロース、カゼインを主体とし、繊維源としてヘミセルロース,フィチン態リンを多く含むフスマを10%配合した半精製飼料を用いた。対照区に比べて、乾物消化率、粗繊維消化率が向上した区はなく、むしろ酵素A区は粗繊維消化率が低下、酵素B区は乾物消化率が低下した。また、リン消化率は3区ともに低下する傾向を示した。 (2)コブタ試験:セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼを含む3種の複合酵素剤の繊維分解効果と糞排泄量軽減効果を子豚を用いて検討した。なお給与飼料は粗繊維4.96%を含む市販飼料である。ラットでの試験結果とは異なり、酵素剤添加3区共に対照区に比べて糞総量は低減し、乾物消化率も高くなる傾向が認められた。また、酵素A区と酵素C区でNFE消化率の改善が認められた。しかし、粗繊維消化率は3区共に有意な効果は認められなかった。乾物消化率の改善、それに伴う糞総量の軽減効果は、粗繊維消化によるものではなく、ヘミセルロースやその他の炭水化物の消化吸収の改善によるものと考えられた。 (2)まとめ:粗繊維量が5%程度のブタ飼料では、粗繊維消化率を10%改善したとしても、糞総量軽減への寄与率は25%である。NFE量が67%の飼料ではNFE消化率を10%改善すると糞総量軽減への寄与率は30%となる。糞総量の低減化を図るには、NFE成分であるヘミセルロースや可溶性繊維の消化を改善することが肝要であるとかんがえられた。また、同じ単胃動物でも、ラットはブタの消化試験モデル動物としては適切でないようであった。
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