研究概要 |
伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)とその標的細胞との相互作用を明らかにするため標的細胞のウイルスレセプターとウイルス側因子につて解析を行い、以下の点を明らかにした。 1)ウイルス吸着に関与する標的細胞側分子の検出 ビオチン標識ウイルス粒子を用いた解析により、IBDVがBK3細胞膜画分の70,82および110kDa分子と特異的に結合することを明らかにした。 2)レセプター分子に対するモノクローナル抗体の作出 BK3細胞膜画分の110kDa抗原を認識するモノクローナル抗体は、IBDVのBK3細胞への吸着を阻害し、この110kDa分子がIBDVの吸着に関与する標的細胞側因子であることが示唆された。 3)IBDV中和モノクローナル抗体に対する抗イディオタイプ抗体の作出 IBDVアミノ酸可変領域を認識するウイルス中和モノクローナル抗体GI-11のイディオタイプに対する抗体は、標的細胞へのIBDVの吸着および感染を阻止せず、GI-11が認識するアミノ酸可変領域の親水性部位がウイルスの吸着や感染には関与していないことを示した。 4)IBDVの細胞障害性に関する解析 超強毒株接種時に比較して、従来株接種後の生細胞率が著しく減少することを示した.一方、抗原陽性細胞率および培養上清中のウイルス力価には、いずれの細胞を用いた場合にも株間に大きな差は認められず、超強毒型および従来型株の培養細胞に対する傷害性が異なることを明らかにした。
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