○免疫電子顕微鏡による視物質の局在に関する検討 鳥類の脳深部光受容細胞の候補として外側中隔と漏斗部の髄液接触ニューロンが挙げられている。本研究では電子顕微鏡を用いて視物質の細胞内局在について検討した。 (1)包埋前法による検討 ウズラとハトの外側中隔髄液接触ニューロンには視物質が含まれる。視物質抗体を用いて、50μのビブラトーム切片でLSAB法による免疫細胞化学をおこなった。光学顕微鏡レベルでウズラ及びハトの視物質免疫陽性髄液接触ニューロンの細胞体が確認され、それらについて電顕再包埋法により細胞内の超微形態を観察した。免疫陽性反応は電顕レベルではDAB-オスミック酸複合体として観察され、それらは瀰漫性に細胞質全域に観察される傾向にある。加えて、細胞内の有芯顆粒全体に陽性反応を認めた。これらの有芯顆粒はハトにおいてウズラよりも数多く観察された。 (2)金・銀増感法による検討 ハト外側中隔の視物質陽性ニューロンについて検討した。50μビブラトーム切片に一次抗体反応後、1nmコロイダル金を標識した二次抗体を作用させ、その後、電顕での可視化のため、金粒子を銀で増感した。電顕下の陽性反応は増感された粒子がドット状に観察された。その局在は細胞質内での顆粒の集積領域で顆粒上もしくは縁に多く認められた。他の細胞質領域ではあまり認められない。 以上の結果より視物質は細胞内で有芯顆粒に凝縮された形で局在することが示唆された。網膜視細胞が有するような外節構造を欠くこの種の光受容細胞での視物質の細胞内局在についての初めての知見を得た。 ○免疫組織化学を用いた神経回路解剖学 ウズラ脳においてVIP神経終末、VIP受容体線維、視物質含有線維の分布を免疫組織化学による検討の予備実験を行い、視床下部で内側視交叉上核にこれらが分布する知見を得た。
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