免疫電顕での神経終末の分布解析による光受容機構神経回路の解明 脳内深部光受容細胞の候補である外側中隔髄液接触ニューロンがVIP及び視物質を含むことよりその軸索終末の分布領域を観察した。その結果、ウズラ視交叉上核(SCN)にVIPと視物質陽性の終末を認め、SCNが外側中隔髄液接触ニューロンの投射領域の一つであることが判明した。さらに詳細なデータを得るため、透過型電子顕微鏡による免疫組織化学により、VIP神経終末、VIP受容体線維、視物質を含む線維の検討を行った。SCNのVIP終末は40%がシナプス構造を持つタイプであり、60%がバリコースタイプである。ウズラSCNが多くのVIPニューロンの支配を受けることが明らかとなった。VIP受容体の陽性反応はシナプス接合部の膜付近に"けば状"の構造として観察された。VIP受容体陽性の線維はSCNのニューロパイルに多く分布し、その様式はVIP終末のそれと類似しており、受容体の存在によりVIPはSCNでニューロトランスミッターとしての機能を有することが示唆された。視物質陽性物質を含む線維もSCNで電顕レベルで確認した。陽性反応は主に有芯顆粒に認められた。このことより、SCNは外側中隔からオプシンを含む線維の投射を受けている可能性が強く示唆される。三種の陽性線維はニューロン細胞体膜から4μm以内にその60〜90%が分布しており、このことは、SCN小型ニューロン近傍でのニューロパイル野における軸索-スパイン結合が情報伝達の場であることが明らかとなり、その領域に外側中隔の髄液接触ニューロン(脳内深部光受容細胞)からの入力があることが強く示唆された。
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