○免疫組織化学法によるウズラ外側中隔髄液接触ニューロン細胞体の検討 VIP(vasoactive intestinal peptide)と視物質抗体を用いて検討した。VIP陽性の細胞体は外側中隔側脳室の腹内側壁で吻尾方向に750〜1000μmにわたり観察された。細胞体の密度は中隔中脳路の線維束が始まる高さで高い。陽性細胞体は双極性で突起の一方は上衣を貫通し、クラブ状の終末部で脳室内に終わる。視物質抗体による検討では同様な陽性細胞が認められたが、細胞体の染色性はVIPより低いようであるが脳室内のクラブ状終末部の染色性は顕著である。 ○走査型電子顕微鏡による脳室内クラブ状終末部の分布範囲の決定 外側中隔側脳室上衣の限定した領域で直径2μm程度の球状突起が認められた。吻尾方向約1000μmの帯状の脳室壁面に400〜500個の球状突起が分布する。分布域は上述の結果と類似している。これらは外側中隔髄液接触ニューロンの脳室内クラブ状突起と考えられる。 ○VIP及び視物質陽性神経終末の分布解析による光受容機構神経回路の解明 ウズラ視交叉上核における免疫電子顕微鏡の観察では、VIP終末およびVIP受容体陽性線維、視物質陽性線維が分布することが明らかとなった。VIP受容体陽性線維はもっぱらニューロパイルに分布し、ここで軸索-スパイン接合部に陽性反応があるようである。 以上の結果より脳深部光受容細胞とみられる外側中隔髄液接触ニューロンが一方の突起を脳室に延ばしクラブ状終末部を形成し、一方、軸索は視交叉上核のニューロンに投射する可能性が示唆された。しかしながら、本研究では受容側の視交叉上核ニューロンの免疫組織化学的特徴は解明されていない。
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