我々はこれまでの研究でヒヨコの網膜節細胞は異所性のものを除き、6グループに分類した。各タイプの節細胞はそれぞれ特有の要素的視覚情報をそれぞれのチャネルを通して、受け持ちの一次中枢へ送っている。今回、各チャネルを作っているDiIおよびLucifer Yellowを用いて節細胞を蛍光標識し、その形成過程をヒヨコ胚で系時的に調べた。E8では標識された節細胞の分布は中心網膜に限局し、網膜全体の約6%を占めた。樹状突起はあまり分岐せず、小さな樹状突起野を形成した。E11では小型または中型の樹状突起野を特徴とするGroup Ic様、Group Iis様/Iic様節細胞が観察された。E14では広い樹状突起野を持つGroup IIIs様とGroup Vic様節細胞が出現した。E17では6タイプ全てが観察された。しかし、まだなお周辺網膜(全体の15%)には軸策を出さない節細胞が存在した。E20において網膜の全領域の節細胞が標識された。また、生理学的特性をもたらす樹状突起の内網状層内での分岐には、各節細胞は特有の層分布を形成した。Group IIは二つの層に、Group IIIsは一つの層に、Group IとGroup IVは多くの層に分布した。以上のデーターのより詳しい解析は現在進行中である。これまでの一連の研究から光がもつ物理現象を要素的にチャネル化することは生体が光を利用して生息する限りにおいて重要な事と考える。
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