研究概要 |
申請者は、ラット肝臓細胞質画分から過塩素酸によって抽出される新規な蛋白質(過塩素酸可溶性蛋白質:PSP)を発見し、その一次構造と機能を明らかにしてきた。本蛋白質は、136個のアミノ酸から構成されており、分子量14,149と計算された。またPSP遺伝子からコードされるアミノ酸配列のホモロジー検索から、PSPは大腸菌からヒトに至る広範囲の生物種において高度に保存されており、PSPの細胞内における生理学的重要性が示唆されている。本研究ではPSPの高次構造を明らかにすること、またPSPによる蛋白質合成阻害の分子機構ならびに生理学的意義を明らかにすることを目的とする。イタリアのDr.Carugoとの共同研究による高次構造解析は順調に進みPSPは2本のα-へリックス構造と交叉する6本のβ-シート構造から構成されていることが明らかにされてきた。一方、蛋白質合成阻害の分子機構としてPSPが、mRNAを特異的に分解するようなRNaseであることを明らかにした。その他、PSPの細胞内における生理的意義を明らかにする目的で、培養細胞NRK52Eの細胞増殖に伴うPSPの発現調節機構の解明や新たにニワトリ肝臓からPSPの精製も行った。
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