新生血管に於ける血管内皮細胞・周細胞質相互陥入の出現と、両細胞に於ける血管新生制御に関連した因子及び同因子遺伝子の発現との関連性ついて、三次元電顕免疫学組織化学的・分子生物学的に検討することから、上記構造の形成に関与する因子と、同構造部を関係する血管新生制御因子を検討し、同構造が血管新生抑制をどの様制御しているかについて解明することを目的とした。実験肉芽組織:3週齢C57BLマウスの皮下に、bFGF添加硬化マトリゲル0.5mlを埋込み後、経日的にマトリゲル内の新生毛細血管の血管内皮細胞・周細胞質突起相互陥入の増減を検討したところ、10日後の成熟傾向を示す新生血管で最大値を示した上述したマトリゲルから、poly(Λ+)RNAを抽出しMouse Micro Array用チップにハイブリダイズしAtlas cDNA Expression Arrayを作製し特異的mRNAの発現を検討したところ、CamKIIとTGF-βのmRNAの発現上昇を確認した。しかし、電顕免疫組織化学的検討からら、TGF-βの発現は血管内皮細胞・周細胞では発現が低いことが確認され、血管新生部に遊走してくる多数のマクロファージで、これらの遺伝子が主に発現していることが確認された。現在、血管新生モデルを改め、さらに、アクチン系線維形成関連遺伝子に注目して、血管内皮細胞・周細胞質相互陥入構造の形成に関与する遺伝子を解析している。
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