研究概要 |
血管内皮細胞・周細胞相互陥入部正Endothelial cell and pericyte interdigitation (EPI)は血管新生初期に比較にして血管新生成熟期に有意にその数が増加することを本研究者はラット実験肉芽組識モデルを用いて三次元電顕免疫学的に証明した。さらに、EPIでは血管新生因子の受容体は周細胞側に発現すること、さらに内皮細胞の増殖阻害因子が発現することを三次元電顕免疫学的に証明した。この結果から、EPIが血管新生制御機構に於いて新生血管の増加よりも、新生血管数の選択的維持に関与することを示唆した。また、広く知られている強い血管新生因子であるVascular endothelial growth factor (VEGF)との関連性を検討した。本研究者は過去N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine(BBN)で誘発される、ラット傍胱癌でVEGFが発現することを報告した(Vet Pathol 36,1999)。そこで、BBN誘発ラット膀胱癌をモデルとしてVEGF中和抗体投与後の新生血管の形態とEPIの関係について検討した。その結果、VEGF中和抗体投与、5分後では有窓型内皮細胞分布率、内皮細胞の有窓数ともに有意に減少していた。これらパラメーターは10分後最低値を示した。しかし、その後、各パラメークーは経時的に増加し、30分後では正常値に復帰した。さらに、毛細血管の形態変化と正相関してEPI数の有意な減少が認められた。このことからEPIが血管新生の促進制御をしていないことが示唆された。さらに、マイクロアレイ解析からEPI数の有意な増加時にアポトーシス関連過伝子群の有意な発現亢進を確認した。EPIはアポトーシスを誘導することで血管新生制御を行うことが示唆された。
|