研究課題/領域番号 |
12660284
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
杉山 誠 岐阜大学, 農学部, 助教授 (80196774)
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研究分担者 |
阿閉 泰郎 岐阜大学, 農学部, 助教授 (90151084)
源 宣之 岐阜大学, 農学部, 教授 (10144007)
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キーワード | ロタウイルス / 発現精製VP8 / レセプター / 宿主域 / 病原性 / 病原性 |
研究概要 |
ロタウイルスの病原性を解析するために、サル由来SA-11株、ハト由来PO-13株、シチメンチョウ由来Ty-1株とTy-3株、ニワトリ由来Ch-1株の哺乳マウスに対する病原性を検討した。その結果、SA-11株およびPO-13株は、哺乳マウスに下痢を起こしたが、Ty-1株、Ty-3株およびCh-1株は下痢を起こさなかった。一方、これら下痢を引き起こさないウイルスであっても、ウイルス蛋白質であるNSP4分子は哺乳マウスに対して直接的に下痢を引き起こすことを証明した。このことは、ロタウイルスはすべてが感染を起こさないが、潜在的に下痢を引き起こす能力を有していることを示唆している。そして、昨年度の研究成果報告にあるように、これらウイルスの感染性の差には、腸管の各ウイルスのレセプターの分布が関係している可能性がある。 そこで、哺乳マウスの腸管におけるこれらウイルスのレセプターの分布を明らかにするために、これまでに作製されたSA-11株、PO-13株およびTy-3株の発現精製VP8蛋白質を用いて検討した。培養細胞を用いた実験から、これらロタウイルスが主に利用するレセプターはシアル酸であることを証明している。そこでノイラミニダーゼ処理をした腸管を陰性対照としてVP8蛋白質を用いて免疫染色を行ったところ、非特異的反応のため腸管のロタウイルスのレセプターの分布を特定することはできなかった。 これまでの結果から、ロタウイルスは異種動物においても下痢を起こす可能性を有しており、感染の成立がそのウイルスの病原性に関係していることを明らかにした。また、この感染の成立には、ウィルスと細胞上のレセプター分子との親和性が重要であることが考えられた。従って、ロタウイルスの流行を予想するにあたり、流行ウイルスと利用するレセプターとの親和性に関する情報は極めて重要であることが本研究から明らかになった。
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