研究課題/領域番号 |
12660289
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
遠藤 大二 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (40168828)
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研究分担者 |
昆 泰寛 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10178402)
桐沢 力雄 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (70153252)
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キーワード | サブトラクション / ヘルペスウイルス / RDA法 / マレック病ウイルス / ゲノム精製 / 牛ヘルペスウイルス1型 / 豚ヘルペスウイルス1型 / 馬ヘルペスウイルス1型 |
研究概要 |
本年度は、ヘルペスウイルスのRDA法によるゲノム調製方法を検討した。申請者らは、ヘルペスウイルスのモデルとしてマレック病ウイルス(MDV)に注目し、RDA法に用いるTaqポリメラーゼを変更したうえサブトラクションのサイクルを一回に限定することによりMDVゲノム調製のための簡便化したRDA法を条件設定した。 MDV感染細胞から抽出したDNAを制限酵素切断した後、宿主DNAには存在しない断片のみを簡略化したRDA法により濃縮したところ、制限酵素ごとにパターンの異なる10程度の断片が0.3-3.5 kbpの範囲で得られた。それぞれの断片をクローニングし、サザンブロットしたところ、いずれの断片も既知のMDVゲノムとハイブリダイズした。また、ウイルスゲノムの制限酵素切断パターンのうち0.3-3.5 kbpの部分と簡略化したRDA法によって得られたパターンが一致したことから、この方法でMDVの制限酵素切断断片が得られたことが示唆された。簡略化したRDA法によって得られる断片のサイズの上限が3.5 kbp程度であることは、ゲノム調整として不十分な点であるが、市販の制限酵素を組み合わせることによりMDVの80%以上の領域を増幅できると考えられる。また、方法の感度を確認するため感染鶏の羽からMDVの抽出を試みたところ、1本の羽根からでもMDVの制限酵素切断断片が調製された。これらの結果から、野外で得られるDNAウイルスの断片の調製に簡略化したRDA法が有効であることが示唆された。 野外試料への応用を考えた場合、本方法は哺乳動物のヘルペスウイルスにも有効であると考えられた。今回、牛ヘルペスウイルス1型、馬ヘルペスウイルス1型および豚ヘルペスウイルス1型について感染細胞DNAからのウイルスDNAの調整を試みた。いずれのウイルスについてもMDVと同様、感染細胞DNAからのウイルス調製は可能であった。この結果から、ヘルペスウイルスの断片の調製に簡略化したRDA法が有効であることが示唆された。 以上、本年度の目標通り、ヘルペスウイルスの効率的ゲノム調製方法が開発された。
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