製紙原料以外への古紙の用途開発、特に水処理材あるいはガス吸着材としての利用を目的として、雑誌古紙を原料として、これに粉末フェノール樹脂接着剤またはフェノール樹脂廃棄物を含浸して熱圧成型処理により古紙ボードを作製した後、炭化及び賦活処理を施すことによって、古紙ボード活性炭を製造した。古紙ボード活性炭の製造方法及び製造条件を検討するとともに、吸着性、強度、細孔構造などの性質を評価した。 その結果、熱圧成型時の設定密度0.7g/cm^3、フェノール樹脂含脂率60%の条件で製造した古紙ボード活性炭は、活性炭製造時の収率が50%のときに最大の比表面積を示し、市販のヤシ殼活性炭の比表面積と同レベルとなった。このときの古紙ボード活性炭のよう素吸着性は、石炭試薬活性炭と同レベルであった。また、フェノール樹脂廃棄物を使用した古紙ボード活性炭は、収率50%のときの比表面積が小さな値を示したが、石炭試薬活性炭と同等のよう素吸着性能を有することが判明した。ベンゼン及びトルエンを用いた有機溶剤吸着性試験では、古紙ボード活性炭は、ヤシ殼活性炭と同等の吸着性能を示した。 古紙ボード活性炭の細孔径分布は原料の雑誌古紙と類似していたが、径の小さな細孔の存在も確認された。また、古紙ボード活性炭のショア硬さは、炭化・賦活前の古紙ボード及び賦活前の古紙ボード炭化物と同程度であった。なお、古紙ボード及び古紙ボード炭化物の曲げ強さは、同程度の密度を有するハードボードや木毛セメント板、石こうフレークボードより優れていた。
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