研究概要 |
【過酸化リン脂質グルタチオンペルオキシダーゼ様遺伝子のプロモーター領域のトランジェントアッセィ】シロイヌナズナ染色体DNAからクローニングした過酸化リン脂質グルタチオンペルオキシダーゼ様遺伝子プロモーター領域を含むと推定した約800bp長のDNAをプロモーター検索ベクターpBI121へ導入してβ-グルコニダーゼ遺伝子上流に連結した。本プラスミドを金粒子に吸着させてパーティクルガンによりエンドウ根に照射して25℃一昼夜MS培地で培養した結果、β-グルコニダーゼ活性を示す青色スポットを認めたことから、本遺伝子断片はプロモーター機能を持つことが明らかとなった。次に、50mM,100mM NaC1を含むMS培地で培養してところ、β-グルコニダーゼ活性に差を認めることができず、過酸化リン脂質グルタチオンペルオキシダーゼ様遺伝子プロモーター領域は塩ストレスにより転写活性の誘導が起こらないことが示唆された。 【過酸化リン脂質グルタチオンペルオキシダーゼ様タンパク質の活性】 大腸菌で発現させ精製した過酸化リン脂質グルタチオンペルオキシダーゼ様タンパク質の過酸化水素、過酸化フォスファチジルコリン、過酸化リノール酸、クメンヒドロキシペルオキシドに対する還元活性を測定した結果、全ての過酸化物に対する酵素活性を認めることが出来なかった。 以上の結果から、植物由来過酸化リン脂質グルタチオンペルオキシダーゼ様遺伝子は哺乳類のものとは機能が異なることが示唆された。来年度は、植物由来過酸化リン脂質グルタチオンペルオキシダーゼ様遺伝子の酸化ストレス(特に塩ストレス)耐性獲得に寄与する機能について検討する。
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