研究概要 |
黒麹菌Aspergillus niger変異株817の培養ろ液からエンド型イヌリナーゼを部分精製し、アミノセルロファインに共有結合により固定化した。固定化酵素をカラムに充填し、5%(w/v)イヌリン溶液から重合度3〜5のイヌロオリゴ糖を連続生産するため、カラム温度、流速およびイヌリナーゼ標品の基質イヌリンとスクロースに対する活性比の影響について検討した。これらのイヌロオリゴ糖を高速液体クロマトグラフィーに供し、重合度により分別精製した。各種腸内細菌による試験管内資化性試験の結果、イヌロトリオース,イヌロテトラオースは大腸菌、クロストリジウム属細菌では資化されず、ビフィズス菌により選択的に利用された。 A. niger野生株No.12の培養菌体を石英砂で破砕し、その抽出液から細胞内エキソおよびエンド型イヌリナーゼをDEAE-セルロファインA-500、続いてセファデックスG-100およびG-200クロマトグラフィーによりそれぞれ電気泳動的に単一に精製した。エキソ型イヌリナーゼP-IIの比活性は、イヌリンに対して6.6U/mg、ショ糖に対して22U/mgであった。エンド型イヌリナーゼP-IIIはイヌリンのみに作用し、比活性は108U/mgであった。ゲルろ過で測定した分子量は、エキソ型イヌリナーゼP-IIが47kDa、エンド型イヌリナーゼP-IIIが56kDaであった。エキソ型イヌリナーゼP-IIとエンド型イヌリナーゼP-IIIの最適pHはそれぞれpH5.0とpH5.3、最適温度はそれぞれ55℃と45℃であった。両酵素ともMn^<2+>で賦活化され、Ag^+、Hg^<2+>、P-クロロメルクリ安息香酸で失活した。エキソ型イヌリナーゼP-IIとエンド型イヌリナーゼP-IIIのイヌリンに対するMichaelis定数(K_m)は、それぞれ5.8mMと0.80mMであった。
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